haruの窓

北海道発

蜩の記

haru11922012-03-12

ここ10年ほどになるだろうか、
芥川賞や直木賞が選出されると、その作品が掲載される文藝春秋やオール読み物を買うようになったのは。


但し、直木賞が掲載されるオール読み物は概要掲載が多いので、
どうしても読みたいものは単行本を買うと言うことになるのだが。

今回の直木賞は長らく新聞記者をしていた、葉室麟氏の『蜩の記』が受賞された。

俺はどちらかというと、時代小説はどうも苦手で、藤沢周平などもほとんど読んでいないのだが、
今回の『蜩の記』は一気に読み進めてしまった。


藩の歴史を書き記すために切腹を10年間猶予された武士の、死を迎えながらの清冽な生き方に深く感銘した。
家族に対する愛、幽閉された所の農民たちから深い信頼を寄せられている武士が、
我が子の命を守るために、家老のもとに出向き、話す胸を打つ言葉の数々。

われわれもこうありたいものだと思うも、
果たして俺の生き方はどうだったのかと比べてしまい、後悔の念を抱いてしまうこともあった。


久しぶりに胸に迫ってくる書だった。