haruの窓

北海道発

タチカマ

haru11922011-12-26

昨日の鮮魚店でのこと。

親戚のものたちに飯寿司と一緒に送るものをあれこれと探していると、若いカップルが店の中を見て「タチカマ置いてる」と話している。 
えっと思って見ると、タチカマが売られている。3個680円。

高いと思いつつも何個か買ったのだが、岩内のタチカマは今やテレビでも新聞、雑誌に取り上げられるほど知られた存在になっている。だから、若いカップルが「タチカマ」と。


さて、タチカマは不思議な食べ物である。
スケソウダラのタチをミキサーにかけて、それに塩と小麦粉を混ぜて、球状にして茹で上げたものだ。(微妙な味は加工場によっても違うのだろうが)

それを、薄く切って酢の物にしたり、ちょっと厚みに切ってワサビ醤油で食べたりする。また、醤油ベースの汁物の具材にもなる。


岩内地方では、冬のスケソウダラ漁と言えばはえ縄での漁法が一般的だ。網で一網打尽に採ると魚体が傷むので、岩内地方では良質のたらこを取るためにこの漁法が行われていた。

だから、昔は、母親たちは家の中でもはえ縄のえさ付けの内職が一般的に行われていたのだ。そのえさはイカの塩蔵した肝臓で、当時はゴロと言われていたのだが、それが結構きついにおいを発するもので、子どもの家がその内職をしているかどうか、臭いでわかったものだ。


今売られているようなツルンとしたタチカマではなかったが、俺の家でも作っていた。当時は箱に入ったまま魚を貰っていたと言うこともあり、タチをすり鉢でトロトロになるまですり下ろして作っていたのだ。祖母がすりこぎですっているときには、小さかった俺はそのすり鉢をしっかりと押さえる役だった。

今ではそれが、高値で売られるようになり、岩内でのはえ縄漁をする漁船も4艘ほどになり、良質の白子であるタチが少なく品薄状態が続いているという。だから毎年値段が高くなる一方なのだ。

酢の物にしてもらった。娘も好きなのだ。