飯寿司の封切り
待ちに待ったこの日がやってきた。
飯寿司の封切りの日だ。
樽を逆さにした時に敷いた新聞紙にはたっぷりと樽から出た水がしみこんでいる。
それを始末してから、樽を元にひっくり返す。
そして上の笹を静かによけると、こんな身がお目見え。
鮭の身だ。
その笹をよけたり、取ったりしながら、中身を手で剥がすようにして取る。
一段一段漬けたので、一段ずつ取り出すことが大事なのだ。
しかし、その身は冷たいの一言。
薄いゴムの手袋をはいて取り出すのだが、冷たい。本当に冷たい。
どうかなと、ゆっくりと口に持って行き、この間35日ほどの労作の味見を連れ合いとする。
お互いが顔を見合わせてうんうんと頷く。オッケーだ。
とても味が良い。美味しい。